WaSabi-News #56

リオ市西部の学校内で銃乱射事件

元Jリーガーらがブラジルで慈善試合

ルセフ大統領が最も使用した単語は「ブラジル」「女性」

アルゼンチンで最も消費する観光客はブラジル人

コラム『ブラジルと原発』


★社会

リオ市西部の学校内で銃乱射事件

ブラジル・リオデジャネイロ市西部、ヘアレンゴ地区の公立学校で、7日午前、元生徒が乱入し、銃を乱射。現在までに12人の死亡が確認された。同校では4年生から9年生までの400人の生徒が学んでいるが、当日は元生徒を呼んでパネル・ディスカッションをするイベントが行われていたという。元生徒であった男性は迷彩服を身につけ、2つのピストルを持って学校に侵入後、4階建てである校舎の各教室で乱射した。その後負傷しながらも学校から抜け出した少年の通告を受けて、現場付近で働いていた一人の警察官が校舎内で容疑者を発見。銃撃戦の後、太ももを打たれた容疑者はその後自ら頭を打ち抜いて自殺した。

容疑者は遺書を残しており、イスラム原理主義似関連する内容になっているが、きわめて混乱しているという。エイズウイルスに感染したという記述もあった。事件発生当時、ブラジリアで行われていた式典に参加していたルセフ大統領は「無防備な子ども達を標的にしたこの手の犯罪は、ブラジルらしくなく、以前にはなかったタイプの犯罪」と発言し、早くして命を奪われた子ども達のために1分間の黙祷を声を震わせながら参加者によびかけた。


元Jリーガーらがブラジルで慈善試合

鹿島アントラーズ、ヴェルディ川崎などでプレー経験のある、アルシンド元選手がジーコ元日本代表監督に呼びかけたことから実現した、震災復興支援マッチ。4月7日に、ドゥンガ元ブラジル代表監督、ロマリオ元ブラジル代表選手などが参加し行われた。入場料の合計36万9千レアル(約2千万円)の収益は、6割が日本の被災者に、4割は開催地であるパラナ州の洪水被災者に義捐金として渡される予定。


ルセフ大統領が最も使用した単語は「ブラジル」「女性」

大統領職についてから100日の間に、32回の演説を行ったルセフ大統領だが、その中で多く出てくる単語は「ブラジル」と「女性」だった。

 

アルゼンチンで最も消費する観光客はブラジル人

ブエノスアイレス観光省によれば、同市で最も消費率が高い外国人観光客はブラジル人である。2010年同市には260万人の観光客が訪れたが、その中でも35%がブラジル人。2010年12月のブラジル人観光客は2009年度同時期の41%増。2010年12月の外国人観光客の一日の平均出費は95,5ドルなのに比べ、ブラジル人観光客は164,5ドルだった。

 


★コラム『ブラジルと原発』

 

 3・11の震災報道はブラジルでも大きく取り上げられ、各紙は津波による被害状況を連日一面で報じた。見知らぬ地元民からも路上で呼び止められ、震災を悼む声をかけられることが度々あった。地震すら一度も体験したことのないラジル人にとって、極東で起こった大惨事は想像をはるか超えているが、多くが日本人の心情を気遣ってくれた。また、カオス的状況にいながらも人々の秩序(規律)が守られていることを感嘆、賞賛する声もよく聞かれた。古来日本では自然を畏怖し、人知を超えた自然災害を受忍する心構えがあるという分析記事もあった。しかし、人間が生み出した原発の事故については、報道する側も報道される側にも、漠然とした見通しの分からない不安感が通底している。

 福島第一原発事故の経過に関する報道は、リビアの戦況とともに国際面に欠かさず掲載されている。現時点で原発の汚染水が海に放出されていることが現地でも報じられており、日本では“低レベルで健康に影響なし”という説明書きがあるが、ブラジルでは放射性物質濃度への言及は少ない。リミットの10倍、100倍、1千倍という数値の差が具体的にどんな影響を人体へ及ぼすのか知らないのが現状といえる。ブラジルでは87年にゴイアス州ゴイアニアで、閉鎖した放射線治療院からゴミ山に廃棄されたレベル5のセシウム137線源により地域住民が被爆、4名が死亡する事故があった(当時、政府は事実を隠蔽)。被爆者のひとりは、今回を機に被爆に関する情報公開、被爆者への支援を政府に求めている。

 水資源が豊富なブラジルでは、消費電力全体の90%を水力発電に依存しており、原発は4%に過ぎない。ブラジル唯一の原発は、リオ市内から車で約2時間のリオ州アングラ・ドス・ヘイス市沿岸部にあり、「アングラ1」が82年から、ドイツの支援を受けた「アングラ2」が00年から稼働している。また、15年操業に向けて建設中の「アングラ3」のほか、30年までに国内4カ所の原発建設計画を進めている。原発管理会社「エレトロヌクレア」は、政府が筆頭株主(53,9%保有)であるブラジル電力公社直轄で、エネルギー鉱山省が指導。べつに監視機関として、科学技術省の国家原子エネルギー委員会が存在する(東京電力は原発管理会社として紹介されるが、「日本は汚染水を海に放出」というように、日本政府の対応として認知されている)。

 福島第一原発事故の1週間後、エネルギー鉱山大臣はアングラ原発のセキュリティ・チェックを指示。非常発電機の導入や緊急避難対策の見直しを検討するが、原発自体は安全で建設計画に変更はないとコメント。一方、原発管理会社と環境省とあいだで、「アングラ3」周辺の環境保全の対応をめぐり溝が深まっている。

 先月22日にはアングラ・ドス・ヘイス市で、環境保護団体と住民による原発反対デモが開催され約100名が参加。26日にはレブロン地区でインターネットの呼びかけに学生約50名が集まり、原発反対を叫んだ。国内外の環境保護団体や若者層を中心に、反対運動が全国的に少しずつ広がっているが、国民的議論までには発展していない。


(転載元:月刊ラティーナ2011年05月号